YoFu’s Taravel Blog

バックパッカーのYoFuが旅情報を発信するブログです

旅行を楽しくする知識 ヒンドゥー教編

こんにちは。YoFuです。

今回は旅行で役立つ宗教知識 ヒンドゥー教編をお送りします。

日本に住んでいると、宗教を身近に感じることはなかなかありませんよね。神社やお寺といった宗教施設にお参りするときでも、宗教を意識することはないと思います。ところが、世界のほとんどの人は宗教が身近にあり、宗教を基に作られた文化で生活しています。世界にはたくさんの宗教があり、宗教の数だけ文化があります。そのため、宗教を理解することは旅先での理解を深めることになり、楽しみが増えます。また、タブーなどの禁止事項を知ることで無用なトラブルを避けることにもつながります。

旅を充実させるためにも宗教知識を身につけておきましょう。

 

世界の宗教の種類

下の地図は世界の国別の主な宗教を色分けしたものです。とてもカラフルです。これを見ていただくと分かるように、世界では何らかの宗教を信仰している人がほとんどです。その数はキリスト教約25億、イスラム教約18億、ヒンドゥー教約10億、仏教約5億、中国宗教約5億人、ユダヤ教約2億人といった主な宗教だけでこれだけの信者がいます。また、各宗教には宗派があり、文化や考え方が違います。そのため、各宗教宗派の共通点と主な特徴だけまとめていきます。

今回はヒンドゥー教です。

概要

宗教人口:約10億人

主な宗派:ヴィシュヌ派・シヴァ派

信仰されている地域:地図のオレンジ色の地域。インド周辺・ネパール・パキスタン

 

f:id:YoFu:20200512162121j:plain

                                                                        世界の主な宗教及び宗派の地図 by LilTek21 CC BY SA

 

歴史

ヒンドゥー教はキリスト教やイスラム教のように開祖がいるわけではなく、インド各地とその周辺に住んでいる人々の土着の信仰が集まって形が作られていった。

紀元前13世紀ころから口述で伝えられてきた信仰がヴェーダ(文書)としてまとめられはじめた。そして、祭司バラモンがヴェーダの神々を祀るようになり、バラモン教が成立していった。

紀元前5世紀ころに4大ヴェーダ(サンヒター・ブラーフマナ・アーラニヤカ・ウパニシャッド)が作り終わり、仏教やジャイナ教などが成立した。

その後もインド各地の土着の信仰を吸収しながらバラモン教は拡大を続け、ヒンドゥー教へ姿を変えていった。各地域の土着の信仰を吸収しながら拡大していったため、一律の信仰が少なく地域差が大きい。そのため、生活様式は各地域によって違い、各地域の慣習とカースト制度によって生活様式が作られている。

特徴

・カースト制度

ヒンドゥー教における身分制度のことで、ヴァルナ(宗教的身分)とジャーティ(生まれ)によって決まり、ヴァルナ・ジャーティ制度ともいう。ヴァルナは4種類でバラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラがあり、ヴァルナに属さない不可触民が存在する。ヴァルナとジャーティの組み合わせによりカーストは2000種類以上あるといわれている。また、カーストごとに生活様式に関する習慣と厳しい規制が存在する。

・業と輪廻、解脱

人は生まれ変わり続けることを輪廻といい、来世は今世の業(行為)と信心によって決まる。輪廻から外れる解脱を最終目的とする。

・多神教

ヒンドゥー教は各地域の土着の信仰を吸収しながら成立したため、各地域の神々を信じる多神教である。

ヒンドゥー教の3大神

ヒンドゥー教は各地方の土着の信仰を吸収したものなので、神の姿が統一されておらず、人によって信仰する神が違います。ここで紹介しきれないほどの神々が存在しています。

・ブラフマー神

トリムルティ(3大神)で世界と宇宙の創造を司る神です。ヒンドゥー教のブラフマン(梵)という思想を神格化したもので、インド神話において世界と宇宙を創造したとされています。現在のヒンドゥー教では信仰する人が少なくなっています。

・ヴィシュヌ神

トリムルティで世界と宇宙の維持を司る神です。インド神話において世界と宇宙を維持しているとされています。10のアヴァターラ(化身・生まれ変わり)として世界に現れたとされています。

ヴィシュヌのアヴァターラ

・シヴァ神

トリムルティで破壊と再生を司る神です。インド神話において世界と宇宙を破壊し、再生させるとされています。各地域の信仰によって様々な性格を持っています。ナタラージャ(踊りの神)・ガンガーダラ(ガンジス川を受け止める神)・ニーラカンタ(青い喉)・パシュパティ(牛の神)など1000を超える性格を持っているといわれている。

旅行中の注意点とタブー

・食ベ物について

ヒンドゥー教は食べ物に対して非常に制約が多いです。アンヒサー(不殺生)が聖典にのっているため、ヒンドゥー教徒は肉を食べない菜食主義者が多いですが、カーストや家系、各地方等によって食べるものが違います。非菜食主義者と一緒に食事をとることを避ける菜食主義者もいます。また、異なるカーストと一緒に食事をとることを避ける人もいます。人が口をつけたものを食べない人もいるので、そこも注意しましょう。そのため、不特定多数と食事をする外食文化ではなく内食文化が発達しています。旅行者の場合はカーストとあまり関係がありませんので、ヒンドゥー教徒の気にさわらないように注意するだけでよいでしょう。ちなみに、地方に行くほど気にする人が多いです。

基本的にスプーン等の食器を使わずに手で食べます。その際は左手は使わずに右手だけを使って食べましょう。

飲酒については禁止されているというわけではありません。

・聖牛崇拝

ヒンドゥー教では神の乗り物として牛が登場したりするため、牛が神聖視されています。街中に野良牛がたくさんいるので、注意しましょう。信じられないかもしれませんが、牛肉を食べたとしてリンチを受けて死亡したニュースがあります。それくらいヒンドゥー教の人たちは牛を大切にします。牛への対応には注意しましょう。関わらないことが1番安全です。

・ガンジス川

ヒンドゥー教ではガンジス川そのものを神格化しており、崇拝しています。身を清めるために沐浴をしたり水を飲んだりしています。ガンジス川については宗教的に注意することはあまりありませんが、敬意を払った行動をしましょう。ちなみに、ガンジス川は下水が流れ込んでいるのでとても汚いです。病気になってしまうかもしれないので旅行者は沐浴などをせず、避けたほうがよいでしょう。

・服装

ヒンドゥー教では服装についての規定がないので、宗教的なことで特に注意する必要はありません。華美な服装を避ければ大丈夫です。

・左手と右手

ヒンドゥー教では左手が不浄とされています。右手で食事をとり、左手でお尻をふくとされています。そのため、食事をするときや握手するときなどの人と関わったり、人目に触れる際は絶対に右手を使うようにしましょう。左手は絶対につかってはいけません。左利きの人は特に注意しましょう。

・その他

女性のおでこについている点はビンディといい、ファッション的な意味合いが強いです。

ターバンを頭に巻くのはシク教でヒンドゥー教ではありません。シク教徒はインド人口の2%くらいです。

 

まとめ

ヒンドゥー教はカーストや地域によって信仰内容が違います。ここで解説したものは考え方のひとつにすぎません。ヒンドゥー教徒の数だけ信仰があります。ヒンドゥー教は多様性が魅力の宗教です。各地を旅すれば旅するだけ様々な姿が見えてきます。ぜひ、いろんな信仰をみてください。知識を深めたい方は以下の本がおすすめです。