YoFu’s Taravel Blog

バックパッカーのYoFuが旅情報を発信するブログです

キリスト教会建築の歴史 建築様式の一覧まとめ

こんにちは。YoFuです。今回はキリスト教会建築の話です。 

ヨーロッパを旅行していると、各地に様々な種類の教会が建っています。芸術作品のような綺麗な教会や重厚な雰囲気で厳かな教会など様々な様式の教会があります。教会は見ているだけでも楽しいのですが、教会建築の様式を知れば、旅がもっと楽しいものになります。なので、今回はキリスト教会建築様式を歴史順にかんたんにまとめていきます。教会建築の歴史は2000年近くあるので、長くなってしましましたが、できるだけわかりやすいようにまとめたつもりです。この記事を読んでいただいた方の旅がより楽しいものになりますように。

追記 : 流れだけを簡潔に砕いて書きました。こちらを見てからこの記事を読んでいただいた方が良いと思います。

yofu.hatenablog.com

 

まえがき

建築様式はロマネスクやゴシックなどの名前がついていますが、これは後世になって名付けられたものです。共通のプラットフォームと時代を持つ教会を区別しやすいように一括にしたものです。本来、建築様式というものは長い時間をかけて、古い様式のものを下敷きに、各地域の文化や技術などが融合されて作られます。また、出来上がった様式が他の地域に伝わるのには時間がかかります。この伝わる間にも各地域の文化と融合がされます。そのため、同じ建築様式の教会でも、各地域によって微妙に違います。全く同じ教会は一つも存在していません。各地域ごとの違いを楽しみましょう。

また、教会は各時代に合わせた増改築や修繕を受けている場合が多いので、建築当時の形のまま残っている教会は非常に少ないです。

ちなみに、教会は記念碑的な性格を有しており、聖者に捧げられることが多かったので、教会は聖地や聖者の墓所に建てられることが多いです。なので、教会の名前には聖者の名前がついていることが多いです。例えば、サンは聖、ピエトロはペトロ、ノートルダムは聖母マリアとなっています。

古代ローマ建築

すべてのキリスト教建築の基礎となった建築様式。古代ローマ建築を理解することは、キリスト教会建築が理解すること。

紀元前753年にローマが誕生してから10世紀もの間、地中海沿岸を中心に広範な地域を支配したので、長い間で生まれた様々な様式で各地に点在している。

宗教建築と世俗建築とを問わず、レンガやローマンコンクリート、大理石などの石材を用いた壁構造、古代ギリシアの柱・梁構造、アーチ構造などの建築構造とオーダー、ドーム、ヴォールトなどの装飾を組み合わせた素晴らしく、美しい建築物を作った。

有名な建築

・ポンペイの再建:ローマに支配された後に地震がおこり、ローマ化しながら再建した。矩形のフォルム(広場)に公共施設が集まり、整然とした平面図が作られた。

・ティトゥス凱旋門:アーチ構造とオーダーの融合。美しいコンポジット式と整ったエンタブレチュア、豊かな装飾のオーダー。中世以降の凱旋門の原型となった。

・コロッセウム:このころまでの円形闘技場建築の集大成。壁構造とは全く違うドーム建築。アーチ構造とオーダーの組合せによる意匠はその後のヨーロッパ建築に大きな影響を与えた。

・パンテオン:コンクリート製ドーム建築の頂点の一つ。直径43.2メートルの球体が収まるドームと古典的な破風を持つ列柱廊による玄関からなる。建築とは空間そのものを創造する芸術であるというローマ人の建築に対する態度、世界観を表現した。完全球体ということでローマ世界の中心という象徴的性格を表現している。

・ハドリアヌスの別荘(ヴィッラ・アドリアーナ):従来の直線による軸線ではなく、折れ曲がる軸線の組み合わせの上に個々の建物は配置されており、部屋と部屋の境目も従来の直線による壁や列柱ではなく、様々な曲線を使い、新しい形のローマ建築が生まれた。

・ディアナの家(インスラ):コンクリート製のアパート。都市化による地価高騰で土地を持てなくなった市民のために、ローマ中に建てられた。投機目的で建てられたため安普請で倒壊、火災が多かった。ローマは世界で最初の賃貸住宅を生んだ。

・ケレスの図書館:伝統的な古典オーダーが洗練され、絵画のよう美しい外観を持つ。

・ティムガド:古代ローマ都市計画の神髄。矩形の城壁に囲まれ、碁盤上に道路が走り、中心に公共施設が集まっている。

・ローマ水道:連続アーチ構造や地下水道など様々な技術を用いて少しの誤差も許さない非常に精巧な建築物。水道の長さは何百キロにも及ぶ、その技術の一部は現在でもつかわれている。

バシリカ式

313年にローマ帝国がキリスト教を公認しました。それまで地下に追いやられていたキリスト教が地上で信仰出来るようになり、地上でミサ(集まって礼拝をすること)を行うための空間として教会が建てられました。人が集まるという意味のバシリカと名づけられました。キリスト教の教会建築の歴史はここから始まる。最初は古代ローマ建築様式で教会を建て、徐々に独自の様式を作り上げていく。

特徴

f:id:YoFu:20200723174730p:plain

・構造:木造の軸組工法なので開口部の数・大きさがあり、内部は非常に明るい。

・身廊:左右の列柱の間の空間。信徒のベンチが並ぶ。

・側廊:列柱と壁との間の空間。身廊の天井より低くなっており、その差の部分に高窓が設けられた。

・空間:身廊と側廊の天井の高さの違いと空間を仕切るように左右に立ち並んでいる列柱が入り口から奥への強烈な指向性を作り出している。

・アトリウム:列柱廊を巡らせた前庭。中央に泉があり、洗礼堂の役目を果たしていた。

・ナルテクス:教会玄関廊。洗礼希望者の為の空間。洗礼をしていない者は教会の中にはいれなかった。信徒以外を教会にいれないようにしており、キリスト教が迫害されていた時代の名残。

・クリア・ストーリー:採光のために身廊と側廊の屋根の高さの違いを利用して作られた高窓が並んでいる層。

・アプス:半円形の壁から張り出している部分。祭壇(ミサを司る司祭が座る席)が設置されている。入場した信徒の視線がアプスに集中するような構造になっている。アプス上には半ドームが設けられ、キリストの復活や昇天などをテーマにした壁画が描かれている。

・袖廊(トランセプト):身廊・側廊と直角に交差する廊下の建物から突き出した部分。

主な教会

建築からかなりの時間がたっているため、当時の特徴を残したままの教会はほとんどない。

サンタポリナーレ・イン・クラッセ教会:古代バシリカ式建築の特徴を強く残しているほとんど唯一の教会。

ビザンツ建築

地中海沿岸地域を広範に支配した東ローマ帝国(ビザンツ帝国)の建築。ドームを神の座として表現したため、ドームが非常に重要な要素。バシリカ式教会のアプス上にドームを設けた。バシリカ式の持つ、細長い広間によるアプスへの指向性と神の座を象徴するドームの垂直性を組み合わせた。アプスへ向かう典礼行進が見栄えするような構造。

特徴

集中式教会:中央に円形または多角形のドームを建ててそれを中心に他の施設を建てていった求心性の高い教会建築。死と関係の深い教会によく使われた様式で、西方よりも東方でよく使われた。ギリシア十字形とも呼ぶ。

ペンディンヴ・ドーム:半ドームの上半分を切り取ったような形を作り、その上にドームを設けたドーム。巨大で頑丈なドームを設けることができる。

f:id:YoFu:20200723174710j:plain

 

主な建築

ハギア・ソフィア大聖堂:ビザンツ建築の傑作で代表作。直径31メートル、高さ55メートルの世界最大のペンデンティヴ・ドームを持つ。大ドームを半ドームが東西から支えている。色大理石とガラスモザイクによる美しく飾られたカラフルな装飾も特徴。ビザンツ帝国を征服したオスマン帝国がモスクに改装した。現在は博物館になっている。

サン・マルコ大聖堂:ヴェネツィアのギリシア十字系の典型的教会。

サン・ヴィターレ教会:ビザンツ帝国がイタリア半島支配の拠点としていたラヴェンナにある。

ロマネスク

11世紀頃までは帝国の分裂や蛮族の侵入などで西ヨーロッパは社会的に不安定だった。社会的に安定しはじめると、建築活動が盛んに行われるようになった。石材による建築技術が発達し、石造りの教会、城、都市などが建築された。ヨーロッパ全体で建築が盛んになり、各都市では大聖堂が作られ、その都市のランドマークとなった。

また、巡礼ブームが起こり、ヨーロッパ各地で巡礼路が整備された。巡礼者が祈るために、巡礼路沿いの各地でロマネスク建築の教会が建てられた。各地の建材と各地の技術を組み合わせて各地の風土にあった地方色豊かな教会が建てられ、各地域の風景の一部となっている。

特徴

f:id:YoFu:20200723174758j:plain

構造:石材で建てられているので、天井と壁が非常に重い。天井と壁を支えるために半円アーチが多用され、高窓と開口部の数と大きさが激減した。そのため採光部が非常に小さくなり、バシリカ式教会よりも非常に暗くて厳かな空間となった。

放射状祭室:内陣の周りに周歩廊をつくり、さらにその外側に突き出した祭室をいくつか設けた構造の祭室。次のゴシック建築に引き継がれ、ヨーロッパ中に広がった。

周歩廊:内陣の周りを歩けるように設けられた廊下。

クリプト:聖遺物を保管していた地下祭室。

クワイヤー(内陣):独立した空間として設置された祭壇。

塔の登場:祈りの時間などを教会が信徒に伝えるための鐘を設置するために塔が登場した。

西構え:入り口正面を西に向け、多層の構造物を設けた形式。ここに塔を配置するようになった。

語源:「ローマ風の」という意味のロマネスクと後世に名付けられた。ゴシック建築の持つ特徴を持たず、半円アーチやヴォールトなどの古代ローマ建築の技法を用いたためロマネスクと名付けられた。

フランス

・サン・セルナン教会

・ノートル・ダム・デュ・ポール聖堂

・サン・フィリベール教会

・サント・マドレーヌ大聖堂:巡礼路の始点の一つ。

・ノートルダム・ド・アノンシアション大聖堂:巡礼路の一つ。

・サン・フロン大聖堂:巡礼路の一つ。

イタリア

バシリカ式を守っており、フランス・ロマネスクの持つ特徴をほとんど持たない。周囲の建物から独立した塔を持つ様式の教会が多い。

・ピサ大聖堂:洗礼堂やピサの斜塔など複数の建築物が集合体として素晴らしい建築となっている。

・サン・ミニアト・アル・モンテ教会:バシリカ式を踏襲している、明るい大理石を用いているなどイタリア・ロマネスクの特徴を表している。

ドイツ

・シュパイアー大聖堂:初期ドイツ・ロマネスクの傑作。ライン川沿いの三大聖堂の一つ。

・マインツ大聖堂:ライン川沿いの三大聖堂の一つ。

・ヴォルムス大聖堂:ライン川沿いの三大聖堂の一つ。

・マリア・ラーハ修道院

・バンベルク大聖堂

・トリーア大聖堂:ドイツ最古の大聖堂。

・アーヘン大聖堂

スペイン

・サンチャゴ・デ・コンポステラ大聖堂:ヨーロッパ最大の巡礼地の一つ。ここを目指した巡礼路が整備され、この巡礼路沿いに数多くの教会が建てられた。

ゴシック建築

ロマネスク建築は教会内部が非常に暗かったため、神の恩寵・神の光に満ちた空間、光のあふれる空間を作るために誕生した建築様式。採光のために、ロマネスク建築よりも壁を薄くして開口部を大きくとる必要があった。開口部を大きくとるために尖頭アーチ、薄い壁を支えるためにフライング・バットレスという技術が作られた。開口部にはステンドグラスが設けられ、色彩の光あふれる空間が誕生した。天空を仰ぎ、手を広げて、色彩の光があふれる、祈りを行うに相応しい建築空間。フランスで誕生し、ヨーロッパ中に広がっていった。

後述する尖頭アーチとリブ・ヴォールト、フライング・バットレスの3点の特徴を持った教会をゴシック建築と呼ぶ。

特徴

f:id:YoFu:20200723174639j:plain

 

・芸術作品:石工、聖像彫刻、絵画、金銀細工、ステンドグラスなどの装飾で芸術作品としての教会を作り上げた。また、装飾でキリスト教を視覚で感じられるようにした。

・大空間:天井が高く、上昇感の強い室内構成と壁面一杯に開けられたステンドグラスの窓から入る神秘的な光。

・塔:高さを追求し大空間を作り上げるためと天への架け橋というイメージから、塔の建築に力が注がれた。西構えに双塔を設け、上昇性を強調するために開口部は縦長になり、てっぺんに尖塔が設けられた。また、各地で塔の高さを競う争いが生じた。

・尖頭アーチ(ポインテッド・アーチ):開口部を広げるためにアーチの弧を長くし、上へ上へと伸ばしたアーチ。

・リブ・ヴォールト:柱の先から天井に沿って対角線上にアーチの筋を付け、それが2本交差しているもの。

・フライング・バットレス:採光のために広くした開口部が崩れないよう支えるためにつけられたアーチ状のつっかえ棒のようなもの。

フランス

フランスで華開いたゴシックの特徴をもつ教会が多い。高い天井と大きな窓、大空間。

・サン・ドニ修道院:ゴシック建築が誕生した教会。

・シャルトル大聖堂

・ランス大聖堂

・アミアン大聖堂

・パリのノートルダム大聖堂

・サン・マクルー大聖堂

イタリア

イタリアではゴシック建築があまり発達せず、垂直性よりも水平性を求めた。

・ミラノ大聖堂

・シエナ大聖堂

ドイツ

ドイツではロマネスク建築の名残を残しており、小さな窓と簡素な装飾が多い。フランスに近い地域では、フランス・ゴシック建築に似た教会が多い。

・聖エリザベート協会:典型的なドイツ・ゴシック建築。

・ケルン大聖堂:フランスのアミアン大聖堂を参考にした。工事が中断され、完成は19世紀。

・フライブルク大聖堂

・ウルム大聖堂

・マクデブルク大聖堂:ドイツ最古のゴシック建築。

・ストラスブール大聖堂:ドイツ・ゴシックの代表作。現在はフランス領に。

・聖ヴィート大聖堂:ドイツ・ゴシックの代表作。現在はチェコ領に。

・レーゲンスブルク大聖堂

・聖ローレンツ教会

・シュテファン大聖堂:現在はオーストリア領に。

イギリス

12世紀から16世紀中ごろまで栄え、ゴシック建築の代表。

・カンタベリー大聖堂:初期イギリス・ゴシックの代表作。

・ソールズベリ大聖堂:初期イギリス・ゴシックの代表作。

・リンカーン大聖堂:初期イギリス・ゴシックの代表作。

・ヨーク・ミンスター大聖堂

・エクセター大聖堂

・キングス・カレッジ礼拝堂:扇形ウォールドが特徴。

・イーリー大聖堂

ベルギー

・サン・ミッシェル・エ・ギュデュル大聖堂

・聖母大聖堂:フランダースの犬でネロが見たがった絵画がある教会。

ルネサンス建築

規模・形態・用途が全く違う古代ローマの建築方法を現代の教会建築に活かすことをルネサンス(再生)と呼ぶ。

ルネサンスはフィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂新築工事から始まった。ハギア・ソフィア大聖堂を超える巨大なドームを持つ大聖堂の実現を目指して工事が始まったが、既存の建築方法では巨大なドームの建築が出来なかった。フィリッポ・ブルネッレスキが発明した、古代ローマ建築のパンテオンを参考にした新しい建築方法でドームを完成させた。古代ローマ建築の再生によって完成したドームがルネサンスの始まりとされている。ルネサンス建築はフィレンツェで誕生し、各地に伝播した。

サン・ピエトロ大聖堂は完全無欠を目指したルネサンスの理想が形となったもので、完成によってルネサンス建築は目指すものがなくなる。その後のルネサンスは手法(マニエラ)自体に趣向を凝らすしかなくなり、マニエリスムと呼ばれた。しかし、マニエリスムは各地に優雅で洗練された作品が次々生みだし、豊かなルネサンス末期を形づくっていった。

イタリア

イタリアでは、端から端まで同じ間隔、同じ立体感でオーダーを並べて、均質で統一され、調和のとれたファサードが作られた。

・サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂:ルネサンスの始まり。花のマリアという意味。

サンタ・クローチェ聖堂パッツィ家礼拝堂:初期ルネサンスの傑作。

・オスペダーレ・デッリ・イノチェンティ

・サンタ・マリア・ノヴェッラ聖堂:色大理石を使ったカラフルな装飾。

・サンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ:最後の晩餐がある。

・サンタ・マリア・プレッソ・サン・サーティロ聖堂:だまし絵を用い、狭い空間を堂々たる空間へ魅せた。

・サン・ピエトロ・イン・モントリオ教会のテンピエット:完全な円形によるルネサンス建築の頂点のひとつ。

・カンピドーリオ広場:2層を貫く柱、ジャイアント・オーダーと幾何学模様、古代の彫刻で古代ローマ帝国の栄光を表現。

・サン・マルコ広場

・サン・ピエトロ大聖堂:パンテオンに匹敵するドームを持った集中式平面の巨大な建築物。完全無欠を目指したルネサンスの理想の形、ルネサンスの完成。後年一部が取り壊され、バロック建築としてよみがえった。

テアトロ・オリンピコ:古代ローマの劇場を模倣して作った劇場。

フランス

ゴシック建築が華開いていたフランスでは、ルネサンス建築の影響をほとんど受けず、世俗建築と宗教建築の一部に限られた。また、中央と両端のオーダーを少し前に張り出させたパヴィリヨンというデザインでファサードが作られた。

・ブロワ城ルイ十二世棟:基本建築はゴシック建築、細かい装飾がルネサンス建築。

・ブロワ城フランソワ一世棟:螺旋階段がルネサンス建築の傑作。

・シャンボール城

・ルーヴル宮殿レスコ翼

・エクーアン城

・サントゥスターシュ教会:ルネサンス建築の教会の数少ない一つ。

オランダ

・アントウェルペンの死庁舎:オランダのルネサンス建築の代表。

ドイツ

・ハイデルベルク城のオットハインリヒスバウ:現在はほとんど残っていない。壁一面に装飾が施されている。

ザンクト・ミヒャエル聖堂

イギリス

ルネサンス建築が導入されるのが17世紀頃と遅かったため、イタリアで成熟したルネサンス建築がそのまま導入された。

バーリィ・ハウス

・クイーンズ・ハウス

・セント・ポール教会堂:トスカナ式オーダーで古代神殿を模倣。

 

バロック建築

教皇庁は買えば罪を免れる免罪符を発行し資金を集めようとした。このやり方に反発する人たちが集まり、プロテスタントという新たな宗派が作られた。従来の信仰を続ける人たちの宗派がカトリック。カトリック教会は立て直しのためにカトリック改革を行った。宗教改革が進んでいた地域に対しては再布教を行い、ヨーロッパ以外の地域、新大陸やアジアへは宣教を行った。その過程でバロック建築は世界各地に広まった。カトリックの宗教的情熱が非常に高まっている期間。

バロック建築とは、カトリック改革で高まった宗教的情熱と教皇の権威や力を信徒・異教徒の感性に直接訴えかけるべく、誕生した建築。感性に直接訴えかけるべく、ルネサンス建築の調和のとれた正確な建築ではなく、楕円や捻れ、曲線や歪んだ形、動きのある形によって整合性を逸脱した表現をし、様々な仕掛けで見るものを驚かせ、各地の伝統を活かした装飾は色や形、大きさを派手になり、可能な限りたっぷりと施された。バロックはポルトガル語で歪んだ真珠と言われる。

特徴

・イル・ジェズ型:イル・ジェズ教会で確立された定型。教会は基本的に平屋で、身廊と側廊で高さが違うのでファサードにオーダーをデザインできなかった。イル・ジェズ教会では横に分割されているような装飾をつけ、各層に分割されているようなファサードを設計した。これで各層ごとのオーダーをデザインできるようになった。また、中心にデザインの重点を置くために、中央にいくにつれて少しずつファサードを前方に張り出していくという手法を用いた。

・外見:バロック建築は見られることを想定して作られているので、見えるところには装飾の手を抜かない。背面などの見えないところは装飾が少なく、非常に簡素。

・美術装飾:天井画や彫刻などの装飾が教会全体を覆いつくして教会と一体となっており、カトリック改革による宗教的情熱を表現している。

・トロンプルイユ(だまし絵):空間を広く見せる手法。空が描かれて空間を上方に拡張しているようにみせるものが多い。

・ジャイアント・オーダー:各層ごとにオーダーを施すのではなく、複数の階層を一つの巨大なオーダーで貫くという手法。マニエリスムの代表的手法。

イタリア

・サン・ピエトロ大聖堂:世界最大のカトリック教会。当初はルネサンス建築の理想の形として建築されたが、集中式平面の教会はミサに向いていなかったため、カトリック改革の一環として、カトリックの象徴的教会へと建て直された。三層構造のナルテクスをもつファサードに建て直され、身廊と側廊が追加されて、ギリシア十字形からラテン十字形へ変更された。サン・ピエトロ広場の整備としてオベリスクや列柱廊などが追加され、ルネサンスの理想からカトリックの象徴的教会へと姿を変えた。

・ナヴォナ広場のサンタニューゼ・イン・アゴーネ聖堂とフォンターナ・ディ・クアトロ・フィウミ

・トレヴィの泉

・スペイン階段

・スペルガ聖堂

・サヴォイア王家の王朝群

・カゼルタ宮殿

・サンタ・スザンナ教会:イル・ジェズ型のファサードが初めて用いられた教会。この教会からイル・ジェズ型のファサードが広がっていった。

スペイン

イスラム文化と混ざって、細かく豊かな装飾が特徴だったムデハル様式とバロック建築が混ざり、過剰な装飾に覆われたスペイン・バロック建築が生まれた。

・サンチャゴ・デ・コンポステーラ大聖堂

・ラ・カルトゥハ修道院

フランス

・リュクサンブール宮殿

メゾン城館

ヴォー・ル・ヴィコント城館

ヴェルサイユ宮殿(改修・増築)鏡の間など

オテル・ド・スービーズ

・ヴァル・ド・グラース

イギリス

・セント・ポール大聖堂 

ブレニム宮殿

オーストリア

南ドイツとオーストリアはカトリックのままであったので、イタリア以上の素晴らしいバロック建築が誕生した。

・シェーンブルン宮殿

・ストックホルム宮殿

ドイツ

・ニンフェンブルグ宮殿

・サンスーシ宮殿

・ザンクト・ヨハン・ネポムク聖堂

・ヴィース巡聖堂

・フィアツェーンハイリゲン巡礼聖堂

・聖ミハエル教会:ミュンヘン

・テアティーナ教会:ミュンヘン

ロシア

・ツァールスコエ・セローのエカテリーナ宮殿

・サンクトペテルブルクの冬宮殿

ゴシック・リヴァイヴァル

19世紀頃から世界中でナショナリズムが高まり、ゴシック建築以外の様式は異教である古代ギリシア・ローマ建築の流れを汲んでいるため、キリスト教の教会に相応しくないとされ、ゴシック建築こそが真のキリスト教建築であると再評価された。ゴシック建築のデザインにのっとった新しい教会を建てようという運動と、既存のゴシック建築を修繕しようという運動と、未完成のゴシック建築を完成させようという運動が起こり、これらの運動をゴシック・リヴァイヴァルと呼ぶ。この運動で新しく建てられた教会をネオ・ゴシック建築と呼ぶ。ゴシック・リヴァイヴァルで建てられてたゴシック建築は多い。ケルン大聖堂の双塔、ウルム大聖堂の鐘楼など。

主な教会

パリのサント・クロティルド教会

ウィーンのヴォティーフキルヒェ

ベルギー・オーステンデのシント・ペトルス・エン・パウルスケルク

長崎の大浦天主堂

用語とフローチャート年表

オーダー:円柱の建築様式

ファサード:建物の正面

ヴォールト:石材やレンガなどの重い材料で立体的に造形された天井

トンネルヴォールト:半円筒形のヴォールト

交差ヴォールト:トンネルヴォールトを交差させたもの

ラテン十字:縦長で横木は軸木のやや上方で交差している

ギリシア十字:縦木と横木が同じ長さで中央で交差している

矩形:4つの角が直角の四角形

 

おわりに

長くなってしまいましたが、キリスト教会建築の主な様式をかんたんに一覧でまとめることができました。教会建築は2000年に及ぶ歴史があるので、教会が非常に興味深いものだということがわかっていただけたと思います。この記事で、ヨーロッパに行く人の旅がさらに楽しいものになりますように。

最後に、興味を持っていただいて、さらに詳しく知りたい方のためにオススメの本を紹介しておきます。

関連記事

yofu.hatenablog.com

yofu.hatenablog.com