こんにちは。YoFuです。
今回は『九州一周旅行記 屋久島で凍死するかと思った話』をお送りします。
冬の屋久島で屋久杉を見るために登山して、山小屋で寝たときの出来事です。
かなりの極限状態に追い込まれました(笑)
ちなみに、前回の記事 『九州一周旅行記 ヒッチハイクで一周しようと思ったけど挫折した話』の数日後の出来事です。
本編
序章
そもそも、冬なら観光客少なくて空いているだろうと思って、特に何もネットで調べることなく深く考えずに屋久島まで行ったのが発端です。
実際に観光客は少なくて、とても過ごしやすかったです。
鹿児島から夜行フェリーに乗り、朝7時くらいに屋久島に着きました。
朝だったので、今から行けば日が暮れる前に屋久杉まで行って帰って来れるだろうと考え、特に何も用意をせずにジーパンとコートで登山口行きのバスに乗り込みました。
バスにしばらく揺られて、朝9時くらいに登山道の入り口に着きました。
「どこまで行くの?」
登山道の入り口で窓口に座っていたおじさんに聞かれました。
「屋久杉まで行く。」と答えると、
「山小屋に泊まるの?」と聞かれました。
「日帰りで帰ってくるよ。」と答えると、おじさんは馬鹿を見るような目で見てきました。
「今の時間からだと日帰りは無理だ。」と告げてきます。こいつは何も調べてないのかと言いたげな表情でした。
あらーっと思う私。予定変更。
「じゃあ、山小屋に泊まるわ。」とおじさんに伝える。
「装備がないと凍死するよ。麓の店でレンタルしてるから、借りてこれば。」と教えてくれました。
おじさんのアドバイスに素直に従って、教えてもらった麓の町の登山ショップへバスで向かいました。
登山ショップへ
登山ショップのおじさんに事情を伝えると、必要なものを用意してくれました。
シュラフと銀マットだけあれば大丈夫。とのことだったので、それを2つだけ借りました。
しかし、借りたシュラフを注意深く見てみると、ペラペラ。薄くね??
銀マットもペラペラ。薄くね??
登山ショップのおじさんにこれで本当に大丈夫か聞くと
「絶対大丈夫だ。秋用だけどこれで大丈夫だ。」と自信満々に答えてきました。
秋用って大丈夫かよ・・・。内心かなり不安でしたが、登山ショップのおじさんが言うならば大丈夫か。と自分を納得させました。
その後、登山ショップのおじさんに言われたとおり、スーパーで食料と水を買いました。島のスーパーって物価高い(笑)
リュックサックに詰めて準備万端。再びバスに乗り、登山道の入り口に戻りました。
登山道の窓口のおじさんに「借りてきた。」とドヤ顔で伝えました。
「じゃあ頑張って。」とおじさんに励まされて屋久杉までの登山をスタートさせました。
ちなみに、バス料金がめちゃくちゃ高い。何度も乗ったからめちゃくちゃお金がかかりました。
やっと登山開始
いざ登山スタート。時間はお昼を過ぎていました。
登山客が多いからか、登山道が綺麗に整備されてました。ジーパンにコートと、山登りをするとは到底思えない格好でも問題ありません。サクサクと歩を進めていきます。
道中、たくさんの人とすれ違う。早朝に屋久杉まで行った人が、ちょうど折り返して降りてきてるみたいでした。
そんな中、今の時間に屋久杉まで向かう人は皆無。混雑することなく、サクサクと進んでいきます。
寒いかなと思っていましたが、歩いているとむしろ温かい。登山ショップのおじさんの言った通り、さすがだな。少しでも疑ってしまった自分が恥ずかしい。
美しい自然を独り占めしながら進んでいきます。
サクサクサクサク進んで、日が暮れる直前くらいに屋久杉に到着しました。
屋久杉も独り占めです。
自然の力に見惚れていると、白い雪がチラホラと降り始めました。
泊まる予定の山小屋まではまだ少しだけ距離があったので、雪が本降りになる前に到着しようと、山小屋に向けて出発しました。
冬の雪山の山小屋で野宿スタート・・・
無事に山小屋まで到着しました。
山小屋に泊まるのは初めてだったので、どんな感じなのかと少し楽しみにしてました。
ただの木造の小屋でした。電気も水道も何もない、ただ雨風がしのげる屋根と壁があるだけ。
しかし、これはこれで風情がある。むしろ、山奥で電気や水道が使えるほうがナンセンスです。
リュックサックをおろし、ご飯を食べ始めました。ご飯がどんどん進みます。気づいていないだけで、体は相当エネルギーを使っていました。
そのうちに太陽が沈み、山小屋の中は真っ暗になりました。外では雪が本降りになっていました。
まだ午後6時くらいでしたが、疲れていたし何もすることがないので、銀マットをしいてシュラフの中に入り、眠りにつきました。
寒い。寒すぎる。尋常じゃない寒さ。
あまりの寒さで目を覚ましました。
銀マットは床からの冷気を遮断しきれず、シュラフは体温を保つことが出来ない。
シュラフの中に深く潜り、膝を抱え込んで丸まっても、寒さで体が震えてきます。
歯がカチカチと小刻みに音をたて、体を動かそうと思っても体が動きません。
あまりの寒さに意識がとんでしまい、しばらくしたら寒さで目を覚ます。これを何度も何度も何度も何度も繰り返しました。日が明けるまで。
何度繰り返したことでしょう。やっと日が昇りました。
このころには、少しは体が動くようになっていました。
少しでも体を動かして体を温めないと死んでしまう。寒すぎるから、さっさと下山しよう。そう思いながら、寒さで震える手で荷物をまとめ、外がまだぼんやりと明るいうちに出発しました。
下山
山小屋を出ると、辺りは真っ白。一面雪景色。道理で寒いわけです。吐く息も白くモヤがかかっています。
生きててよかった。凍死せずにすんだ。思わず喜びが溢れてきました。
それと同時に、怒りも湧き上がってきました。登山ショップのおやじ、適当なこと言いやがって!
おやじに対して怒り心頭でした。山を降りたら、速攻で登山ショップのおやじに文句を言ってやろう。おやじに怒りをぶちまけることだけを考えて下山をはじめました。
登りと同じく、下りも人がいなかったので、サクサクと進みました。登山道の入り口手前付近で今から登るであろう人と何人かすれ違った程度でした。
帰りもサクサクサクサク進んで、無事に下山完了。何とか凍死せずに生還できました。
「屋久杉よかったやろ。」
登山道の入り口の窓口に座っていたおじさんが聞いてきました。
「最高!」と答えて、バスで麓に帰りました。
登山ショップのおやじへの怒りは置いといて、景色はすごくきれいでした。白く雪化粧した屋久杉もとても美しいものでした。
麓について速攻、登山ショップに行きました。おやじに怒りをぶちまけるためです。
私はおやじに怒り、シュラフと銀マット全然役に立たなかったわ!死ぬかと思ったわ!と思いの丈をぶちまけました。
「俺の言ったとおり、大丈夫やったやろ。死んでないやん。」
おやじは悪びれる様子もなく、ヘラヘラと言ってきます。
確かに、おやじの言ったとおり、大丈夫でした。確かに私は死んでませんでした。生きてました。
道具を借りたときに言われた言葉は間違っていませんでした。それ以上文句を言うことができず、モヤモヤとしたまま店をあとにしました。
なんだかなぁ~。
感想
ちなみに、下山した後はレンタル自転車で島をめぐりました。夜、クタクタに疲れた後に飲んだビールが今までで一番旨かったビールです。
以上です。
ちょっとした情報
屋久杉は少しずつ腐ってきているらしいので、見たいと思っている人は早めに行ったほうがいいですよ。そのうち、腐って倒れるかもしれないらしいです。
私は散々な目に会いましたが、冬は人が少なくておすすめです。早朝に登山を開始すれば、一日で行って帰って来れるので私のような悲惨な目に会わないですよ。
自転車で島一周はきついです。アップダウンが激しいので体力が持ちません。原付のレンタルもあるので、島を一周したい人は絶対原付にしましょう。