YoFu’s Taravel Blog

バックパッカーのYoFuが旅情報を発信するブログです

世界地図の歴史 番外編 海図の歴史

こんにちは。YoFuです。

今回は『世界地図の歴史 番外編 海図の歴史』をお送りします。

世界地図の歴史の第1回『古代編』はこちら、第2回『中世編』はこちら、第3回『大航海時代以降編』はこちら

番外編の『月の地図の歴史』はこちら、『天文図の歴史』はこちら

 

まえがき

海図の歴史は12世紀頃のポルトラーノ海図から始まります。

これ以前にも海図はありましたが、本格的な海図はポルトラーノ海図からです。

なぜポルトラーノ海図が本格的な海図なのか。

ポルトラーノ海図は今では当たり前となっているコンパスローズを描いたからです。

コンパスローズからは方位線が伸びており、目的地までの方位線と船乗りが持っているコンパスの方位を合わせることで、迷わずに目的地にたどり着くことができるようになりました。航海の安全性が飛躍的に上昇しました。

ちなみに、コンパスは11世紀頃に中国で誕生したと言われています。

ポルトラーノ海図とは

ポルトラーノはイタリア語で「水路誌」という意味です。

ポルトラーノ海図は当時めちゃくちゃ貴重品でした。

というのも、世界を行き来する方法が書かれていたからです。

当時の国々は他国の船を拿捕した際、何よりも先ずポルトラーノ海図を奪いました。

当時の船乗りたちは他国に拿捕された際、何よりも先ずポルトラーノ海図を捨てました。

それぐらい貴重なものでした。

現存しているものが少ないのは、他国に奪われないように処分していたからかもしれません。

初期のポルトラーノ海図は近海を航海するために使われていたので、製作国の周辺の沿岸部はかなり詳細に描かれていますが、遠くはほとんど描かれていないか大雑把にかかれている程度です。

ピサ図、製作者不明、1258年〜1291年の間

f:id:YoFu:20201120235844j:plain

ポルトラーノ海図の中で現存する最古のものです。

地図の製作者、所有者、使用方法、制作された時期などすべてが不明です。イタリアのピサで発見されたので『ピサ図』と呼ばれています。制作された時期は推定です。

保存状態の悪さから、航海で日常的に使われていたと考えられています。

初期のポルトラーノ海図は、遠くまで航海する用ではなく、近くの海を航海するようでした。

そのため、製作国の周辺の海域しか描かれていません。その分、沿岸部の海岸線は精密に描かれており、港や都市などが細かく記されています。

ピサ図も当時としては信じられないくらい地形が緻密に描かれています。イタリア半島のかかとの部分こそ大雑把ですが、地中海沿岸の海岸線はかなり正確に描かれており、港や都市も正確に記されています。

当時の世界地図はこんなにも大雑把だったのに。

 

ドゥルサート図、アンジェリーノ・ドゥルサート、1339年

f:id:YoFu:20201120235857j:plain

イタリアの海図製作者が作成した海図です。

ピサ図から50〜100年経っているのに、あまり変化がありません。

ヴァルセカ図、ガブリエル・デ・ヴァルセカ、1439年

f:id:YoFu:20201120235904j:plain

スペインの海図製作者が作成した海図です。

100年前のイタリアのドゥルサート図と比べると、あまり変化がありません。ピサ図と比べてもほとんど変化がありません。

世界地図と同じく、海図もほとんど進歩がありませんでした。

世界地図と同じく、大幅な変化は大航海時代に入ってからです。

万国航海図、ディオゴ・リベイロ、1529年

f:id:YoFu:20201120235900j:plain

これまでのポルトラーノ海図は近くの海を航海する用でしたが、大航海時代の開始とともに遠くの海を航海するためにも使われるようになりました。

世界中の海を迷わずに公開できるように、海の重要なポイントのあちこちにコンパスローズが描かれ、全体にグリッド線と方位線が記されました。

ただ、遠くの海まで描いたのでサイズが巨大になりました。

メルカトル図、ゲラルドゥス・メルカトル、1538年

f:id:YoFu:20201118173448p:plain

かの有名なメルカトルが作成した世界地図。

そもそもは航海用に作られたもので、世界中の海を航海することができるように工夫をこらして描かれました。

その工夫がメルカトル図法です。地球上のすべての場所の緯度を赤道と同じ長さにして、四方形の地図を描きました。

緯度と経度を直角に交差するように描いたおかげで、直線の航路を簡単に描くことが出来るようになりました。

海図の集大成です。メルカトルの後は、海岸線や大陸の大きさなどがただただ精密になっていくだけです。

 

あとがき

世界地図と同じく、海図も歴史の上でかなり重要なものです。

海図は未知と恐怖と好奇心で満ちていた海を進む道標となりました。

海図がなければ大航海時代は訪れませんでしたし、アメリカ大陸もオーストラリア大陸も未開のままでした。

海図も見ているとワクワクします。見ているだけで時間がアット今に過ぎていきます。

ぜひともみなさんも地図の魅力にハマってください。

関連記事

世界地図の歴史の第1回『古代編』はこちら、第2回『中世編』はこちら、第3回『大航海時代以降編』はこちら

番外編の『月の地図の歴史』はこちら、『天文図の歴史』はこちら